メンバーの藤城さんによるアイアンマンジャパンのレースレポートが届きました。

 

アイアンマンハワイのスロット獲得をめざして、アイアンマンジャパンに参加してきました。結論を言ってしまうと残念ながらスロット獲得はなりませんでしたが、それまでのいきさつとレースレポートをまとめてみました。長文となりますが適当に読み飛ばしてください。

1. トライアスロンステーション以前
わたしは今年で55歳になりますが、走り始めたのは46歳の時です。それまでは時々テニスをするくらいでした。たまたま1㎞くらい走ってみたら足がパンパンになりびっくりしました。というのも陸上競技の経験はありませんでしたが、中高生のころは自転車小僧でランドナー(なつかしい)で走り回っていましたし、大学ではクロスカントリースキーもやっており持久力にはある程度自身があったのです。
これではいかん、とその後定期的に走り始め、レースに出るようになると、全力を出し切る爽快感にめざめランニングにはまりました。初マラソンはその年のいびがわマラソンで、途中から腸脛靭帯の痛みで大失速しましたが4時間台でゴール。その後は一段と練習に力が入り3年目でサブスリー、5年目で2:50切り、7年目についに2:40を切り、念願の福岡国際マラソン出場資格を取りました。昨年度は1歳刻みのフルマラソンランキングで2位になりました。
トライアスロンを始めたのは走り始めて2年後くらいです。とにかく暑さに弱いので夏場の走り込みができず、体力維持のためにプールに行ったり、山に登ったりしていたのですが、それならトライアスロンに挑戦してみようかと思い立ったのです。バイクは20年以上前に買いお蔵入りしていたブリジストンのレイダックというアルミのロードレーサーを引っ張り出してきました。ちなみに買った当時はアルミがまだ出たばかりのころで最先端でした。すべて我流で、とりあえずスイムでおぼれず完走できればいいというレベルでした。トライアスロンステーション(以下トラステ)主催の作手合宿にも2回参加させていただきました。あくまでマラソンがメインでトライアスロンは遊びの感覚で、他にもトレイルレースやバイクのエンデューロ、ヒルクライム、デュアスロン、アクアスロンなど何でも挑戦してみるという感じでした。
マラソンの記録をのばすために一番大事なことはモチベーションを保つことだと思います。常に少し先の目標と、もっと先の大きな(できそうもない?)目標を持つようにしています。3、4年くらい前に設けた大きな目標が福岡国際マラソンとアイアンマンハワイへの出場です。ご存じのとおりトライアスロンでは5歳刻みのエイジ枠がありますので、55歳になる今年がコナへの挑戦に適した年であると考えていました。昨年の伊良湖でトライアスロンでは初めて年代別3位に入いり表彰されたのも、今年の挑戦への後押しとなりました。弱点は分かっていました。スイムではいつも真ん中より後ろの順位でした。いままでランニングを含めどこのチームにも属していませんでしたが、ここはひとつスイムを基礎から教えてもらおうと考えました。以前の合宿で高橋先生が一人一人をよく観察してアドバイスされていたことを思い出して、名古屋からは少し遠いですがトラステの門をたたきました。

2. トライアスロンステーション後の半年間
フルマラソンシーズン終了後の3月よりトラステの練習に参加しました。最初のスイム練習で下半身が沈みまくっていること、体が息継ぎの方向ばかり向いていること、脚がバラバラなことを指摘されました。やっぱり我流ではだめだなと思いました。
その後の練習で少しずつ改善されたようですが、下半身の沈みはまだ治っていないようで、杉浦コーチには毎回指摘されています。バイクでの姿勢も上半身の姿勢や踏込のタイミングなど指導していただきました。
さて今シーズン当初からスロット獲得のためのタイム目標は考えていました。年代別で2位なら確実、3位で微妙と考えていましたので、昨年までのアイアンマンのタイムを参考にしました。調べてみると昨年は年代1位が11:23、3位が11:32(接戦です)、1昨年が1位10:46、3位11:35でした。11:00なら当確と考えこれを目標としました。自分の力からスイム1:20、バイク6:00、ラン3:30、トランジット0:10を設定しました。スイムの目標は50m 1‘00のペースで長く楽に泳ぐこと、全体の真ん中より前になること。バイクは平均時速30㎞で180㎞走りとおすこととランに余力を残すこと。それができれば11:00も可能と考えました。
週末はなるべくトラステに参加し、平日週2回はプールに行くようにしました。例年では夏でもランが練習の半分以上を占め月200㎞以上は走るのですが、今年は割り切って各種目1/3ずつの練習を意識しました。結果ランの距離はこの半年間100㎞を少し超える程度で例年の半分くらいでした。トラステでは練習だけでなくレースのボランティアなど今までにない経験もでき充実の日々を送りました。
バイクは5年くらい乗っているTTバイクですが、今年は決戦に備えDi2仕様としました。これはきわめて有効で特にTTバイクとの相性は抜群と感じました。またウェットスーツもオーダーで新調しました。
暑いと追い込む練習は難しいので意識してレースを多く入れました。すると思わぬ結果が…。初戦の長良川ミドルで55-59歳1位となると、続くアイアンマンセントレアでも同3位、木曽三川トライアスロンでは50歳以上1位となり3大会連続で表彰されました。こんなに早く結果に表れびっくりしました。苦手のスイムも真ん中より少し前でアップできるようになりましたし、バイクのスピードも上がってきたと実感できました。後は長い時間のバイクに耐えられるようロングライドが必要と考えました。
そんなおりです。皆生トライアスロンに参加していた元同僚でその後も付き合いのある友人がスイムで溺れ亡くなりました。年齢は同じくらいでスイムは私より数段上手な人です。普通に溺れるとは思えないので不整脈か何かで意識がなくなったのでしょうか。
このままトライアスロンを続けてもよいのかという思い、自分もいつ死んでもおかしくないのだという思いなどが交錯し、その後は練習も身が入りませんでした。お通夜で飾られていた写真がマラソンやトライアスロンの写真ばかりで自分の葬式もこんな風になるのかなと思いました。
練習をするうちに少しずつ気持ちの整理もできてきました。極端な話トライアスロンやマラソンで死んだら本望というのでしょうか。私のマラソンの師匠で福岡在住の20歳くらい年上の方がいるのですが、その人もマラソンで倒れて死ぬのも悪くないと以前話していたのを思い出しました。
バイクロングライドもこなしいよいよアイアンマンジャパンを迎える日が近づきました。

3. アイアンマンジャパン参戦記
前々日受付のため朝のフライトで札幌へ。シャトルバスで会場へ向かい受付、説明会の後、ホテルチェックインし、送ってあったバイクを組み立て、少し試走。忙しい一日でした。
説明会ではバイクのコースが厳しいことが強調されていました。序盤以外はアップダウンの連続で特に100㎞からの上りは標高差600m位でクライムヒルの大会が行われるコースとか。事前の情報である程度覚悟はしていましたが、バイクタイム6:00は難しいと思いました。これまでのバイクロングライドでは三河山地のアップダウンのコースだと平均時速25㎞以下でしか走れていません。目標タイムを30分落とし11:30、最低ラインを12:00と設定しなおしました。
前日は朝軽くジョグ。偶然トラステの深瀬さんに会い、情報交換し健闘を誓い合いました。その後バイクチェックインし洞爺湖で試泳。水はとてもきれいで気持ちよく、水温もいい感じでした。その後はゆっくり荷物の準備をしました。応援のため夕方には妻が来てくれました。
当日は朝3:00起床し、シャトルバスで会場へ。バイクとT1のセッティングを済ませ軽くアップ。長丁場ですがスイム事故のリスクを減らすためにも軽いアップは必要と考えています。
ウェアはトライスロン用のパンツと半袖シャツ(トライステラのものではありません。ごめんなさい)、ゼッケンベルトが嫌いなのでゼッケンは前後に止めます。ウェットスーツはフルスーツ。ガーミンの調子が不安定なので片手にガーミン、片手にタイメックスの時計2本態勢です。

スイム
さあいよいよスタート。水温は22-3度でちょうど良い。余裕をもって入ります。水がきれいなこともありバトルはほとんどなく、順調に進みます。スイムコースは2200mの周回後いったん上陸し、残り2/3周1600mというコースでした。2200m上陸時42分台。早くてびっくりしました。
このままの調子でと2周目目に入り同じような感じで泳いだつもりでしたが、3800mスイムアップ時1:19台で1600mを37分くらいかかっていました。自分では感じませんでしたが後半疲れたのでしょうか。あるいは蛇行していたのかもしれません。
いずれにしても目標通り上々の出来です。高橋先生ありがとうございましたー。

バイク
T1ではソックスと指なしグローブのみ追加。ヘルメットは耳が隠れないエアロタイプにしましたが、これは失敗でした。バイク中頭が熱く感じ水をかぶろうにもてっぺんに穴が開いていません。
ボトルは前に装着するボトルにスポドリ、シートチューブには栄養ジェル数種計10本にマグオンやポカリスエット粉末を混ぜOS-1で溶かすという特製ごちゃまぜ補給食、サドルの後ろに工具、ウィンドブレーカーなどを入れたボトルとエイドでの途中交換用のボトルを装着しました。ホイールは上りを考え軽量のZIPP303、タイヤは転倒やパンクのリスクが低いと考え35㎜の太めでさらにノーパンク剤を注入しています。
序盤の平地は35㎞/hくらいで順調に進みました。心拍が平地では140台、上りでは150台を保つよう走りました。洞爺湖を離れるとほとんど平らな所はなくアップダウンの連続です。それでも救いは道が広く下りの急カーブもないので下りでほとんどブレーキをかける必要がないことです。とはいえ上りは20km/hを割ってしまいますので、平均速度もじわじわ下がり60㎞地点では30㎞を割ってしまいました。これから大きな登りがあることを考えると6:00は到底無理とわかりました。
中間付近にセントレアでよくあるような、下って、Uターン、すぐ上りという区間が1か所ありました。私が安全にUターンしていると、後ろから女性の「まっすぐ行きます」という声が聞こえ、えっ、何?と思っているうちに後ろから突っ込まれ転倒。幸いかすり傷くらいでバイクも動くのでよかったのですが、Uターンの場所でまっすぐ行きますって今でも意味が分からない。その直後の上りでは怒りのためアドレナリンが出たのか思わずスピードアップしてしまいました。その女性も抜き返し、その時「すいませんでした」と声をかけられましたが、いいですよという気にもなれず改めて怒る気にもなれず、だまって抜かしていきました。コースにもっと注意喚起の看板や声をかける人を増やしてほしいとも感じました。翌日コースディレクターの人にもその旨は伝えました。
100㎞を過ぎ、いよいよクライムヒルです。抑え気味に来ていますので、まだそれほど疲れは感じていません。傾斜はそれほどでもなく、淡々と進みました。上りは得意ではないのですが少しずつ抜かしていきます。頂上は寒いかと思っていましたが、まったく寒さは感じず、ウィンドブレーカは不用でした。下りは長く豪快であっという間に10㎞を下ります。
コース図を見てダウンヒル後の終盤のアップダウンがいやだな、と予想はしていましたが、予想以上でした。向かい風もあり最後の30㎞位はかなり苦しくなりました。それほど上っているように見えないのにスピードメーターは20㎞を割っています。後日、他の人とのブログを見るとこの区間はみな苦しんだようでした。終盤に長めのトイレタイムも入り、バイクタイムは結局6:45。しかしまだ想定内。12:00切りは十分可能であきらめるタイムではありません。

ラン
T2ではシューズを替えるのみで、すぐ得意のランへ飛び出します。序盤のきついのぼりでは前後の人はほとんど歩いていましたが、気合で走ります。コナがかかっていますから。
長い下りもブレーキをかけず下ります。脚への負担も気になりますが、そこはコナがかかっていますから。
13㎞位で洞爺湖畔に出て短い折り返しコースがあります。ここでチェックすると前に同じエイジの人が3人おり一番前の人との差が約12分、もっと前に通り過ぎた人がいるかも知れませんが、12分前の人を抜けば何とかなるのでは、とこの時点では思っていました。
天気は曇りで気温は高くなかったのですが、体は熱く水をかぶりながら進みました。少しずつ苦しくなりましたが、気持ちを切らさずゴールを目指しました。
コースの後半は24㎞位からは片道6㎞をいったんゴール近くまで行ったら、戻って、また行くというコースで、順位が確認できます。ここに入ってすぐに50-54歳カテの人に抜かれました。12㎞くらいリードされていることになります。「速いですね」と声をかけると、まだ前に3人おり一人抜かさなければスロットに届かないと必死の形相で走って行きました。
注意深くすれ違う人のナンバーを見ていくと、一人、また一人と55歳カテの人が現れます。28㎞地点で、すでにその数4人。この時点で4㎞位リードされていますので、コナが絶望的と悟りました。それからは完全にモチベーションが落ちジョグに。後からデータを見ると心拍数も160くらいまで上がっていたのが120台まで急降下していました。妻が応援してくれましたが、スピードは上がりません。もうコナがかかっていませんから。
ジョグペースに落とすと苦しくはなくなりましたが、距離は長く感じます。
次第に暗くなりました。ゴール付近が照明で光っており、だんだん近づいてきます。最後は妻と手つなぎゴールと思いましたが、禁止されているのか誰もしていないと妻が言うので一人でゴール。結果は残念でしたが、力は出し切りましたし、フルアイアンマン初完走でもありますのでそれなりの充実感を感じてのゴールでした。

ランタイムは3:55でかろうじてサブフォー。総合タイム12:11:06。
カテゴリー9位でハワイのスロットにはかすりもしませんでした。最後に落としたことを除けばタイムは想定内でしたが、想定以上に周りのレベルが高すぎでした。55歳カテの1位は10:45、2位が10:57、3位も11:13、とてもかないませんという感じです。日本のおやじたち進化しすぎだよ。
タイムをみて最も感じたのはバイクの力の差です。山道のロングライドは今シーズン2回でしたが、もっともっとこなさなければ、太刀打ちできません。捲土重来いつかまたコナに挑戦します。

長い文章になりましたがレースレポートを終わります。今後もトラステの一員として練習に参加させていただきますが、来年はコナへは挑戦しません。来年の春夏のメインはボストンマラソンとサロマ湖ウルトラマラソンと決めているのです。そこでの表彰台、できれば1位をめざし、さらにはフルマラソンランキング1位、年齢別世界記録…。
ほらが過ぎました。ごめんなさい。これからもよろしくお願いします。